刊行物の紹介:正かなづかひ 理論と實踐 創刊號(はなごよみ・発行)

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[正かなづかひ 理論と實踐]宣伝バナーです。

[正かなづかひ 理論と實踐 創刊號 カヴァ] [正かなづかひ 理論と實踐 創刊號 表紙]
カヴァ(左)と表紙(右)

内容見本(PDF形式/約2,832KB)

 最初にお断りしますが、本誌は全ページ歴史的仮名遣です(固有名詞や引用文等を除く)。また、一部記事には正字(旧字)を使ってますが、パソコンの通常の文字コードにない正字体フォントも使った「ホンモノの正字正かな(旧字旧かな)」の文章での出版を実現しました!

 しかし、本誌のテーマ「歴史的仮名遣」と聞くと、「学校の古文の授業でやったけど、難しかった!」と感じる方が多いかも知れません。もちろん、日常的には使用しない人が大半ですね。中には「昔の人が使ったのはいいけど、今はより優れた現代仮名遣を使用すべきで、歴史的仮名遣など今更使用する価値がない」「歴史的仮名遣を使用するのは知識のひけらかしで見苦しい」との意見すら見受けられます。
 その一方で、歴史的仮名遣は「過去の国語表記」としてではなく、「21世紀の現代でも細々と生き続ける、生きた言葉」としても使用されてます。俳句や短歌に使用する人は今でも珍しくありません。また、インターネットでは歴史的仮名遣でウェブサイトを作ったり、ブログやツイッターに書く人を時々見かけます。
 この冊子は「学校で学んだ古典」の話ではなく、「平成の現代に使用される歴史的仮名遣」について、また、歴史的仮名遣を覚えたりコンピュータで利用するコツについて扱ってます。ちなみに、一般書店で見掛けるこの種の本とは異なり、本誌では「正字(旧字)」の話は少なめで、大半は正かな、つまり歴史的仮名遣の話です。

 ところで実は、ここまで読んでくださった皆さんは、それとは知らずに歴史的仮名遣を読んでます(嘘だと思ったら、ここまでの文章を歴史的仮名遣に書き直してください)。正字(旧字)を使ってなくて、現代口語文だと、現代仮名遣を使った一般的な文章との差は、それほど大きくないものですから、是非とも挑戦してみてください。(さらに正字(旧字)も覚えれば、明治の文豪の作品や、軍事マニアの好きな戦時中の資料等も、「のらくろ」みたいな戦前の漫画も、みんな原文で読むことができますよ! それに、古典文学が難しいと感じるのは仮名遣よりむしろ、「今は使用されない昔の単語」や「文語文」では?)。
 「歴史的仮名遣が発音通りに書かれないのは、決して意地悪ではなく、ちゃんとした理由がある」事が、きっとわかります。そして、歴史的仮名遣の魅力を再発見していただければ嬉しいです。

目次

★☆☆☆☆ 正字正かなを知らなくても読めます・楽しめます
★★☆☆☆ 新字正かな。でも古文でなく現代文なので、中学・高校で歴史的かなづかひを習った人なら楽勝です(この目次の解説文と同じレベル)
★★★☆☆ 正字正かな。口語体の現代文、文章は短め/または文語体の俳句・短歌
★★★★☆ 正字正かな。口語体の現代文、文章は長め
★★★★★ 正字正かな。文語体の長文、難しい語彙が多め、等のため難易度最高(今回は該当無し)
(正字=俗にいふ「旧字」、正かな=俗にいふ「旧かな」つまり歴史的かなづかひ、の意味です)

序文 野嵜健秀 どうして本誌のテーマは「正かなづかひ(歴史的かなづかひ)」なのか、そして「正字(旧字)」より「かなづかひ」の問題にスポットを当てるのかについて説明します。 ★☆☆☆☆
イラスト 刑部しきみ 本誌のためにイラストを描き下ろしてくださいました。 ★☆☆☆☆
エッセイ
歴史的仮名遣は生きてゐる! 押井徳馬 歴史的かなづかひは古文専用の表記ではない、といふ宣言。 ★☆☆☆☆
私たちの歴史的仮名遣 三宅龍太郎 現代において歴史的かなづかひを使ふ意味について。 ★★☆☆☆
正字正假名と宗教心 對馬仁 樣々な宗教の教典や発行物に見られる正字正かなについて。 ★★★☆☆
上方ことばと正假名遣ひ 関西弁と正かなの親和性について。 ★★★☆☆
「新かな」と「正かな」のはざま 出人 平成19年に亡くなった小西甚一先生を偲んで。 ★☆☆☆☆
「理論」篇
歴史的仮名遣の原理 野嵜健秀 歴史的かなづかひは、どんな考へ方に基づき、どんな法則があるのかについて。「最低限どこまで覚えればよいか」に関しても。 ★★☆☆☆
正かなづかひの書き方ガイド 平頭通 実際に書いてみたい人のための解説。 ★★☆☆☆
歴史的かなづかひの練習 空拇 特に間違へやすいかなづかひの注意点がわかります。 ★★☆☆☆
楷体新書 山口翔平 書道の楷書で「正字(旧字)」を書く際のアドバイス。実は、正字を手で書く時は、必ずしも「活字体」と同じ形には書きませんし、現在我々が使ってる書体と同様に書く漢字も多いものです(たとへば、之繞(しんにょう/しんにゅう)は、明朝体では二点が多いですが、楷書では昔から一点+くねる形です)。 ★★☆☆☆
国語問題の歴史 野嵜健秀 日本で「現代かなづかい」が制定され、「歴史的かなづかひ」が使はれなくなっていった歴史を紐解く。 ★★☆☆☆
「實踐(じっせん)」篇
雨と風を詠む 酒井景二朗 「雨」と「風」をテーマに正字正かなで詠む短歌十首。 ★★★☆☆
物産展 卜部兼榛 物産展にまつはる学校時代のユーモラスな思ひ出。 ★★★☆☆
春の夢跡 雨宮 冬明 歴史SFもの? 最後はちゃんと本誌のテーマにつながってます。 ★★★☆☆
男の娘爆誕しろ! かふし タイトル通り、いはゆる「男の娘」小説。正字正かなでライトノベルに挑戦! ★★★★☆
大好きよ!おねえさま 押井徳馬 いはゆる「ソフト百合」の短編作品。大正~昭和初期のいはゆる「エス」もの小説のテイストを残しながらも、舞台は現代に設定。 ★★☆☆☆
書評、評論、その他
書評コーナー 名賀月晃嗣、平頭通、野嵜健秀 正字正かなに関係した書籍の辛口書評。 ★★☆☆☆~★★★☆☆
僕の妹は福田恆存の『私の國語敎室』を讀むか? 佐藤 俊 正字正かなで萌え4コマ漫画! ★★★☆☆
日本數學史小篇 中山數次郎 和算のかなり詳しい歴史。 ★★★★☆
軍歌評論と過去と未來のこと ておりあ タイトル通り、軍歌評論。曲のラインナップがマニア向けです。 ★★★★☆
改定常用漢字表試案への意見 平頭通 文化庁の「「新常用漢字表(仮称)」に関する試案」に対するパブリックコメントとして送った内容。 ★☆☆☆☆
連載 紙の闇黒日記(一) ファッションとしての正かなづかひ 野嵜健秀 坪内祐三の「正かなづかひはファッション」といふ意見に思ふこと。 ★★★☆☆
編輯後記 執筆者一同 各執筆者の感想等。 ★★★☆☆
技術篇(左横書き)
正かなづかひで入力する手引 ATOK篇 名賀月晃嗣 ATOKの文語モードで正字正かなを入力する方法。 ★★★☆☆
正假名遣ひを實踐する爲のSKK入門 江洲信也 EmacsとSKKで正字正かなを入力する方法。 ★★★☆☆
正字正かな文書作成のヒント 第一囘 一太郎・InDesign篇 押井德馬 一太郎やInDesignで正字正かな文書を作成する方法。 ★★★★☆

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